少女は列車に揺られて夢の中。
少女の隣には、兄弟弟子の少年がひとり。
膝の上には、大きく膨らんだ鞄がひとつ。
鞄の中に詰まっているのは、
大事な大事な魔法薬の材料と、
師匠から預かった一つの小包。
その小さな包みを、
万年樹スウェーヌスが育む
植物系世界イミットレストの歌姫に届ける こと――
それが少女の目的であり、師匠に課せられた試験だった。
「お前、今回のお使いが定期試験だってわかってんのか?
合格しないと、師匠の弟子でいられなくなるんだぞ?」
少年の心配をよそに、
少女はすやすやと眠り続ける。
自然豊かな未知の世界で、
少女たちを待ち受けているものは――。