エルフの里

イラスト:ゆきさめ

 

 ユーソフィア大陸の片隅にエルフ族が隠れて暮らす里(シフティマ)が存在する。

大陸に住む者は一切誰も踏み入れることが出来ない神の領域とされている。

そこには、幻想的で豊な自然が広がっている。

 

月に一度神を讃えるお祭りが開かれ、

唯一賑やかに騒ぐことが出来るこの一日はエルフ族にとって大事な日。

そんな大事な日に、エルフの少年リトは、こっそり抜け出して丘の上の森へと向かう。

リトはエルフでありながら、魔法を使うことが一切出来ないため、大勢のエルフ族から馬鹿にされ続けていたのだ。

母も父も居ないリトが落ち込んだ時、森に住む生き物達がそっと寄り添った。

魔法は使えないけど、唯一どんな生き物や精霊とも話すことができる能力がリトにはある。

その能力のせいなのか、外の世界から誰かの声が時々聞こえてきたりする。

恐ろしい声、悲しむ声…。

それは、次第に頻度を増してリトを襲ってきた。

 

エルフ族は外の世界に出てはいけないという掟があり、誰も外を知らない。

リトは誰よりも外に夢を抱いていた。

その夢は、小さい頃におばあちゃんから貰った絵本を読んだ時からだった。

それは、外から仕入れた絵本らしく、少し古びてはいるが中はとても鮮やかな色彩で彩られていた。

製作者は不明だが、その絵本を描いた人が生きた世界を見てみたいと思った。

 

ある日、森の精霊達に相談をし、外に出る方法を知る。

そして、掟を破り、長らく暮らしていたエルフの里を離れ、旅に出ると決心した。

 

遠くに見える赤い空、そして悲痛な叫びの正体とは。

初めての大陸に胸が躍る気持ちがあれど、とても不安でもある。

小さい頃から仲の良かった森の精霊「コメラロット」の支えもあり、

勇気を出して歩き出した。